目を閉じたらあら不思議!

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高校三年の弟と、中学一年の妹。かつて家族で住んでいた家に、三人で住んでいる。 たまに、父方のおじいちゃんとおばあちゃんが来てくれるから生活はなんとかなっていた。 正直私が大学に行く余裕などなかった。 だけどおばあちゃんが、 「親のせいで不自由はさせたくない。大学に行きたいのなら行きなさい」 と言ってくれた。 少しでもお金をかけないよう、色々な奨学金制度を調べた。 「元不良だった結菜が、今じゃ更正してこんなんになってるんだもんな~。 結菜に喧嘩で負けた奴らが見たら、絶対気絶するね!」 「いつの話してんのよ! 私は今や清楚で可憐な乙女だ」 「はいはい見た目はね」 バッサリと美幸に言われ、私のハートズタズタ寸前! そう‥私には、忘れたい過去がある。 何もかもが嫌になって、一時期かなり荒れていた。 今はこうして普通に生活しているけれど。 私の過去を知っている人からしたら、今の私は信じられないと思う。 ‥しまった。過去を思い出している場合じゃない! なんたって今日は 「卵が安いんだよぉぉぉ!!じゃ!またいつでも連絡してね!」 「はいはーい!また新選組の話聞いてよ~」 美幸と手を振り合ってダッシュでカフェを出る。 タイムセールの恐ろしさを私は知っている。 普段は井戸端会議を開いているおばちゃん、心の広いおばちゃんが、鬼と化するのだ。 初めてタイムセールに参加した日は、もう喧嘩よりも凄まじい戦いで泣いた。 そしたら大量的に商品を取っていたおばちゃんが、一つ分けてくれたのを覚えている。 その優しさにまた滝のような涙を流してお礼を言った。 人の優しさって‥素晴らしい!!
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