目を閉じたらあら不思議!

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ここまで気になると、欲というものが沸いてくる。 会ってみたい、という欲が。 多分こう思うのは、美幸の影響。 美幸はタイムスリップが出来るものならしたい、と何度も言っているから。 そう考えながら、美幸から貰ったキーホルダーを再び鞄に入れた。 「もしもさ、もしもだけど‥」 私は直哉に話しかけるというより、自分自身に話しかけるように言い始める。 「タイムスリップが出来るとしたらさ」 隣を歩く直哉が、不思議そうに私を見る。不思議そうというか、呆れ顔というか‥。 だけど、私は構わず続ける。 「私、安藤早太郎に会ってみたい」 興味と少しの好奇心。 それは叶うはずのない欲を生み出した。 「はあ?アホか。姉貴‥いくら彼氏出来ないからって、現実逃避は止めてくれよ」 「げっ!?現実逃避してるのかな私‥‥」 「お、もう花火上がってんじゃん。もう八時なのか」 私の事を無視して、直哉は空を見上げた。 そんな直哉につられて、私も空を見上げる。 始まったばかりだから、まだ小さめの色とりどりの花火が上がり始めていた。 上手い表現も、言葉も見つからない。 闇に咲く花、光。それはただ綺麗としか言えなかった。 言葉にしなくても同じものを共感できる。そんな花火が私は大好きだ。 「綺麗‥」 ボソッと呟くと、ヒュルル‥と一つ花火が上がる。 次はどんな花火だろう?と期待していると、パッと闇に光が――‥。 ん?あれ?なんか眩しすぎるような気がするんだけど。 まだメインの花火にしては、時間的に早いはず‥。 ていうか、一面真っ暗だったのに真っ白なんだけど!? 賑やかだった空気も、花火に感動する声も、何もかも聞こえない。 そうだ!直哉、直哉は? 隣を見ても、そこにいたはずの直哉はいない。 そしてあまりにも眩しすぎて、私の瞼は固く閉じられた。
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