0人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「ほら、この辺があんたが言っていた辺りだ。しかし、村のはずれには何にもねぇべ。何用だ?」
しゃがれ声の老人が、久しぶりの訪問者に不思議そうに顔を向ける。真っ白な、長いヒゲが特徴的だった。
「案内してくれてありがとう。あまり、詳しくは知らないが、友人が昔ここの人間に世話になったんだ。このあたりに人は住んでいるのか?」
茶色く、短い髪の男は老人にこう訪ねた。目は鋭く、どこか光がなかった。
「2、3戸家があったかもしれないが、なにせ駅からも離れてるで、詳しくは知らんねぇ。」
「そうか。ありがとう」
「どうしますかい?私が案内できるのはこの辺まででっせ。」
チラッと老人を見やってから、鋭い眼光で青年はあたりを見回した。
とにかく、まずは手がかりをつかまなければならない。今回は絶対に、失敗できないんだ…
「おい、兄ちゃん。聞いてるか?どこまで案内すればいい?」
最初のコメントを投稿しよう!