プロローグ ─私を失う時─

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少し前から一段と冷たくなった風が吹き、私の服や髪が荒々しくなびく。 体に震えが走りそうな気温なのに、私の体からは気持ちの悪い汗が溢れだし、喉の奥は焼けつくような渇きに襲われている。 必死に声を出そうとするのに声は喉を通り抜けてくれず、今はまだすぐ側にいるあなたにさえ言葉が届かない。 そんな私をあなたは凍てつくような目で見、その視線を感じる度に私の胸には、ナイフでずたずたに切り裂かれたような痛みが襲い狂う。 なんで、なんで、なんで…………っ!? 想いは一切口から溢れず、喉の途中で塞き止められてしまう。
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