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あなたの目には一体、何が見えているのか。
あなたは私に背中を向け歩いてゆく。
「ま、待って!」
ようやく口から出た言葉は、そんなちんけなものだった。
それでもあなたは足を止めて顔だけを私に向け、
「そんなに辛そうな顔はしないで。優は、何も悪くないんだから。」
あなたの言葉は私の胸に深く突き刺さり、足を冷たいコンクリートに縫い留めるには十分すぎた。
たった一言だけ言葉を出した私の口は、もう言葉を出すことは出来ない。伝えたいことはいっぱいあるのに全てが無意味なものに感じ、身動きが出来なくなった。
あなたはそんな私を見て、再び背中を見せて歩き出す。
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