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長い長い授業がようやく終わり、私は自然と息を吐いていた。チラチラと時計を見ながら過ごしたこの50分は、いつもより何倍にも長く感じた。
「ゆーうっ」
その声とほぼ同時に私は、わっ、と小さく声を出す。
「いきなり後ろから抱きつかないでよ! びっくりするじゃん」
「ごめんごめん。勢いあまっちゃって」
私の声は無視されたみたいで紗綾(さや)は楽しそうに笑う。
私はため息とともに、明るい茶色の髪から香るミントの香りを肺に吸い込んだ。
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