プロローグ

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いつになくおしゃべりな祐樹と共に買い物を済ませいつもの道へ続く道へ向かう。 どうでも良いが、こいつはスポーツ以外はとことん成績がよく学校内の推薦で志望の大学へ合格がほぼ約束された身である。 しかしながら驚くべきところは塾には通ってないというところか。かといってがり勉でもない(らしい。自己申告なので分からないが)。 だから、こうも余裕をこいて寄り道をしながら帰るのだろう。 いつもの道へ着き、そしていつもの別れ道で、 『ご苦労さん。』 と、いつもの調子で帰ってく。 多少変則的だったがいつもと変わらない、帰宅の風景。あたりはすっかり暗くなっていた。 そして、しばらく歩き白いマンションの305号室、我が家に着く。 当然のように家には誰も居ない。ペット禁制なので犬猫もいない。薄暗い部屋をボタン一つで明るくし台所へ向かう。 母親はいない。小さい頃に病気で他界。もやのかかったような思い出だけの存在で寂しい。 父親は医者で滅多に家には帰らない、と言うかは帰りたくないようだ、母を思い出したくないのだろうか?俺が中学に上がるのと同時により一層仕事人間になってしまった。たまに帰ってきても自室にこもりきりである。俺宛てに月に二度くらい机の上にお金と手紙が置いてある。申し訳ないと言ったないようだ。たまには返事を出しておこうと思う。気にするなと。 俺はと言うと半ば放任されて育ったせいで家事全般が趣味みたいになってしまった。 さっそく冷蔵庫を開け何を作ろうか悩み近くにある料理本を開き材料を照らし合わせて、参考にしながら創作料理を作ることにした。
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