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千聖さんの話しを聞いた私は…何か引っ掛かったような気がした…。
…実を言えば…何を隠そう愛莉も同じような境遇にあり…小学校入学直前まで施設で暮らし、その後は今の両親に引き取られ、大学まで行かせて貰っているのだ…。
美優は、中学の時に初めて知り合って以来、お互いに意気投合し、1歳の歳の差はあるものの、私の唯一の“友達”と呼べる存在になった。
…私も…親に捨てられた事は変えようもない事実だし…その点では海斗と同じだ…。でも…私は運良く今の両親と巡り会えたが…海斗は…ずっと一人で孤独と葛藤してきたんだ…。そう思うと…いたたまれなくて胸が苦しくなってくる。
…つい癖で自分の世界に入り込み考えてしまった私に…美優が心配そうに声を掛けてきた。
『…愛莉…泣きそうな顔してるけど…どうしたの?騙すような事したの…怒ってる?』
『ううん。怒ったりなんてしてないから心配しないで。考え事してただけだから…』
て…私は涙を堪えながら必死で平静を装った…。
『それで?その先輩は何時に待ち合わせしてるんですか?』
『えっと…時間にきっちりな先輩だから…もうすぐ来るかと…あ!先輩こっちです』
“先輩”の姿が見えたらしく大声で呼んだ声にビックリしたのは…私だけだったが…こちらに向かってくる相手を見て更にビックリしてしまった…。 何故なら…目の前にれ現れた相手と愛莉は…初対面ではなかったのだ…。
…だが…この出会いが…運命の歯車を狂わせる事になるとは…誰しも予想出来なかった…。
お互い気づき…目を見開いて凝視してしまった…。
『…何であなたが…どうしてここに…』
『それはこっちのセリフだ。…どうゆう事だよ千聖…説明しろ!』
…何と…愛莉の目の前に現れたのは…施設で生活していた時にいつも優しくお兄ちゃんのように遊んだりしてくれた“海君”だったのだ!
『あれ?お二人ともお知り合いだったんですか?だったら話しが早い。後はお二人で宜しくお願いします。美優、行くぞ!』
『…う…うん。愛莉ゴメンね…』
そう言うと…二人は仲良く手を繋ぎ去っていった…。
『はぁ…。何なのよ一体…』
『…お前…千聖とどうゆう関係なんだ?』
『千聖さんは、私の友達でさっきいた美優って子の彼氏さんで…今日突然セッティングされて初対面で…しかもあなたが現れるし…頭の中整理出来なくてグチャグチャ…』
『……』
『…何で何も喋らないの?』
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