1、ドグマチックな転校生。

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リンは姫夜が我が家で暮らす事に猛反発し、どうにか出て行くよう説得を試みているが、今のところ効果は全くと言っていい程に無い。 出来ればテレビに集中したいが、俺はそこまで野暮じゃない。テレビの電源を切り、二人の会話に耳を傾ける。 「出会ったその日から同居なんてあり得ないのだ!」 「いいえ、あり得るあり得ないの問題じゃない。同居する事が太郎にとって必要なの」 「お互いに何も知らないままに同居すると、ろくな事にならないのをウチは知ってる! だからダメなのだ!!」 まぁ、そうだろうな。リンが家にやって来てから今まで、ろくでもない日常だったからな。 「関係ないわ。私がいる限り、太郎は必ず幸せになる。決定事項よ」 「し、幸せ!? タローはウチが幸せにするからお前なんてお呼びじゃないのだ! 帰るのだ!!」 「フッ、貴女も太郎に降り掛かった災厄の一つのクセに何を偉そうに」 それを言うならお前もその一つだ、姫夜。間違いなく俺の災厄A級戦犯だ。この数時間で身に沁みてるよ。 「お前こそ、タローの反応を見てる限りは災厄の一つなのだ、偉そうにするな!」 「そ、そんな筈ないわ。私が太郎を不幸から救い出す……だから、だから私は災厄なんかじゃ……」 何だ? 急に姫夜の勢いが無くなった。と言うより、物凄く顔色が悪いんだが……。 「お前はタローの何もナニも知らないのだ! よってウチの方がタローを幸せにできるのだ!!」 「私は、私は……違う。私は災厄なんかじゃ……」 遂にはカタカタと震え出した。何かこれはあれだ。止めるべきだな。そして、リンの発言は後で咎めるべきだ。
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