1、ドグマチックな転校生。

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「そのへんにしとけ。リン、俺は姫夜に興味が湧いた。だから少しの間、従ってみようと思う」 「……タローはこの女の肩を持つのだな? ウチに飽きたのか?」 「そういう言い方止めろ。俺にとっちゃ、今さら幸か不幸かなんて問題は些細なもんだ。なぜなら不幸が日常だからな」 「要はウチに飽きたとか、ウチが災厄だとかじゃないって言いたいのだ?」 「まぁ、そうなる」 「タローは回りくどいのだ」 リンの扱いは慣れてるからどうにか落ち着けたが、問題は姫夜だ。災厄だと言われた時点から顔面蒼白な訳だが、如何せん俺は御手洗姫夜という人間を知らない。だから、勢いで頑張ろう。 俺はソファーでカタカタと震えてる姫夜に目線を合わせて、少し力を入れて肩を掴む。 「姫夜、俺にとっちゃ不幸は日常だ。だから、姫夜が俺にとっての災厄だとしても、俺は微塵も気にしない。 そして、姫夜は俺を幸せにすると言った。幸せは非日常だ。人間、同じような毎日から刺激ある日々に変わる事を望むもんだ。 俺はその非日常を提供してくれると言う姫夜に興味が湧いた。ならば、姫夜の言うことに耳を傾けるのもいいだろう。 俺が言いたいのは、その、あれだ。姫夜が俺を不幸から救うのは決定事項なんだろ? なら、悄気てないでさっさと助けてくれよ」 俺がそう言い終わる頃には姫夜の震えは治まり、顔色も良くなっていた。 「太郎……慰めるの下手。震えてる女の子を抱き締める度胸すらないの?」 「言うな。そして、出会って数時間の女の子を抱き締める度胸なんぞ願い下げだ」 「何よ。私、美少女よ、美少女。男なら変な気起こすでしょ?」 「……やっぱり出てけ」
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