4、文化祭メランコリー。

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風紀委員会室に着き、待機していた風紀委員に男子生徒を預けると、栗林先輩は、少し涙目になりながら俺の前に立った。リンは更に買い与えた水飴に夢中だ。 「ランキングサイトの事は黙っていてもらえるか?」 「別に興味ないですから、誰にも言うつもりなんてありませんよ」 そう言うと、栗林先輩は心底安心したようで、深く息を吐いた。少し苛めてみるか。 「でも、栗林先輩がドMだって事は切り札として覚えておきますよ?」 「なっ!? それは違うと言っただろ!!」 「違うんですか? 先輩となら、そういうこともありかなと思ったんですけ──」 「本当かっ!? ……あっ」 今の俺は、さぞ意地の悪い顔をしているだろう。栗林先輩も絶望に打ちひしがれ、怯えた目になり、それが徐々に恍惚となり、息が荒れて……あれ? 思っていた反応と違う……しまった。真性のドMだったか! 「あぁ……もっと、もっとそうやって私を見てくれ。蔑んでくれ!」 あまりの衝撃に動けなくなる。周りに人がいれば噂はすぐに拡散するだろうが、幸か不幸か、風紀委員会室の周辺は文化祭開催中、立ち入り禁止なのだ。故に見ている人はいないが、助けてくれる人もいない。 俺はどうすればいい? 今まで、俺はドMに出会った事が無い。対処法が見付からない。すごく怖い! 「ハァハァハァ……田中、蔑んでくれ。罵ってくれ。蹂躙してくれ!」 「黙れ、クソビッチ! 俺は寝不足で辛いんだ! 勝手に喚くな!!」 しまったぁぁぁ!! いつもの癖で普通に罵ってしまった。絶対に逆効果だよな!? 「あぁ……! それだ。それを私は待っていたんだ。もっと、もっとぉ……」 「失礼しましたぁぁぁ!!」 俺はリンを抱えて全速力で変態から逃げ出した。 何か色んな意味で吐きそうだわ! 勘弁してくれ。
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