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キーンコーン
カーンコーン…
「くすくすっ…見てよあれえ。またやってるよ…」
「えー、またあ?やだー…」
クラスメイトの女子たちが、そんなことを、こそこそと話している。
…まあ、こそこそといっても、丸聞こえだけれど…。
こんなことを囁かれて、びくついたりするのが普通かもしれない。
だけどわたしは平然と、机に座り、本を眺めている。
だってこんなこと、もう慣れっこだから。
高校生になって登校初日、隣になった子が、自然と話しかけてきた。
これはお決まりのことだろう。
誰でも皆、最初は不安なのだ。
はやくクラスに馴染まなきゃいけないと…。
だがわたしは、そんなことどうでもよかった。
普通に登校し、普通に勉強し、普通に三年間高校に通えたらよかったのだ。
だからと言って、わたしは話しかけてきた隣の子を、無視することはしない。
自己紹介をして、世間話をする。
新しいクラスになるといつもこんな感じ。
…でも、時が経つにつれ、話していた子は離れていき、自分の居心地のよいグループへと、皆、入っていった。
わたしは特に行動をしないので、自然とひとりとなる。
そこまではいいのだ。
ひとりになると、やはり浮いてしまう。
そうなると、陰口のターゲットは、わたしになる。
わたしは、休み時間になると、本を手に持ち、小声で朗読をしているのだ。
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