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『…春子…おまえの母さんは…もう…もうっ…ぅ…この家には…帰ってこない…』
『………?どういう…こと…?』
『…今…警さ……いや…電話が、かかってきて…一時間前に、買いものに出掛けた母さんが…っ…母さんが………事故に…あったんだ…』
『…じ、こ…?事故って…?』
『…大型…トラックの、不注意で……母さんは……』
『…………』
――――
その時の父は、言葉を詰まらせながらも、涙をこらえてしゃべっていたことを今でも思い出す。
父の言葉だけが、頭に響いて、その時なにをしていたのか、どんな状況だったのか、まったく覚えていない。
卒業式までは、まるで早送りで、時間が過ぎていったように感じる。
そして中学校に入り、昔、わたしの夢だったことを、実現させてみたいと思ったのだ。
なぜそこまで心から惹かれるのかは、こういうことです。
わたしは、母のためにも、家族のためにも、自分のためにも、この夢を、叶えなければならないのです。
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