~縁は異なもの味なもの~

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毎日のように字ばかり見ているので、わたしは近くの、森の緑で、目を休めることにした。 緑が増えてくると、僅かに涼しく、心地よく感じてきた。 「…そういえばここ、来たことなかったなあ…」 学校帰りのときなど、近くまでは通るけれど、中に入ったのはこれが初めてだった。 うん…やっぱり緑っていいな… リラックスもできるし… 上を見上げると、葉の間から陽射しが溢れ、キラキラとしていた。 「それにしても…人が全然いないな…」 ふと不思議に思い、辺りを見回すが、人の気配がなく、誰もいないことに気づく。 静かな、綺麗な場所なのに… その時、さらさらと吹いていた風が、突然、ビュウッと、なにかが襲ってくるような強風になった。 「ぅわっっ!?」 咄嗟に腕で顔を覆い、目をつむった。 「・・・・・・」 その強風は過ぎていき、おさまったのを確認して、わたしは恐る恐る目を開いた。 「…なんだったんだろう」 視界には、先程と同じ景色があった。 …だが、一つだけ、増えていることに気がついた。 「………え?」 わたしは、目を丸くした。 巨大なものが、横たわっている。 自分の右横に、さっきまでは無かった、大きな大木が横たわっていたのだ。 .
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