踏切少女は深紅に染まる

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「さ、もう大丈夫だよね。さらばだ少年、二度と来るなよ」 「……え?」 カンカンカンカン――  カンカンカンカン―― 「もう、ここに来る必要なんて無いでしょ?」 鳴り始めた警報機。 不意に、力強く押された背中。 「ちょっ……!」 「バイバイ」 ゆっくりと、僕から帰るべき場所を隔離するバー。 気がついた時にはもう、二人の間には線路と二本のバーが、ここぞとばかりにとおせんぼう。 待ってよ。まだ、お礼を言ってないじゃないか。 慌てて叫んだ僕の言葉と、赤く染まった命の恩人の姿はどちらも、狙ったようにやって来た電車にすべて、かき消されていった。 □■□■□■□■□■□■□■□ 「その花束、どうするんです? 綺麗な白百合ですね」 「いや、ちょっとな。それよりも転校生さあ、敬語なんか使わなくていいって言ったろ?」 「……転校生って呼び方、止めてくれたらいいですよ」 「おう、分かった」 「一緒に帰るのは構わないけど、いきなり花屋に寄るから驚きました……あ、驚いたよ」 「なんだか今日は寄り道したい気分なんだよなー」 「寄り道って……こっちの方ってお店とかあったっけ? あ、こんな所に踏切あったんだ」 「よいしょっと……ありがとな」 「ん、何か言った? って、ここに花束置いてくの!?」 「よし、帰るぞ!」 「あっ、ちょっと待ってよー!」 「……バーカ」            おしまい
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