踏切少女は深紅に染まる

6/11

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「始めに言っておくけど、僕は間違ってない」 ――今日は、みんなに転校生を紹介しますね―― 「僕は正しい。僕は正義だ」 ――初めまして……あの……よ、よろしくお願い……します―― ――うわ、何あの女の子―― ――貧乏臭いし地味だよね―― ――まさに陰キャラって感じ―― 「なのに、何だよ」 ――転校生、お前キモいんだよ―― ――帰れよ、前の学校に―― 「どいつもこいつもさ」 ――かーえれ、かーえれ―― 《オイ! もう止めろよ!》 「見返してやるよ」 ――あ? 何だよ?―― ――うわ、ヒーローぶってんの? 気持ち悪っ―― 「後悔させてやるよ」 ――かーえれ、かーえれ―― ――かーえれ、かーえれ―― 「僕は、正しいんだ」 風船の栓を外すように、モヤモヤを思いっきり吐き出した。しぼんだ胸がちょっぴり心地良い。 「ふーん」 「いや、ふーんって……」 「要するに、いじめられていた転校生の女の子を庇ったら、自分もいじめられるようになった、と」 「……まあ、そんなとこ」 相も変わらず淡々とした口調だけど、要点をついた的確な返答は、僕の心を深く、深く抉る。 そして再び大きなため息をついてから、口裂けない女は口を開いた。 「分かった。じゃあ、死んで」 ……はい?
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加