15人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてまた、朝が来た。明日が来た。
「…………」
正義を貫き通せ、か。
「出来るのか? 僕に」
僕はただ、逃げ出したかっただけなのかもしれない。
「守れるのか? 僕は」
ああ、そっか。勇気を向ける方向、間違ってたんだ。
「……やってやるか」
さあ、足を踏み出そう。
「後悔、しないようにさ」
とある中学校の、とある教室の前。ドアで隔てられた、あの世界。
何もかもぐちゃぐちゃで、嫌なこともいっぱいある、糞ったれで馬鹿みたいな世界。
でもさ、僕は僕だから。
僕はもう、逃げないから。
「…………」
心臓の高鳴りを感じながら、ドアに手をかける。
不思議とあの時より……命を絶とうと踏切に入った時より、ずっと楽だった。
最初のコメントを投稿しよう!