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そこは池のような場所だった。 ような、という表現をしたのは、沼のようにも感じたからだ。 緑色をした藻が水面を覆っていて、至るところから背の高い水草が伸びている。 が、側の岩から落ちる小さな滝から流れる水自体は透明でとても綺麗だ。 眼前の景色を一通り眺めた後、池の向こう岸に立つ少年が私に猟銃を向けていることに気が付いた。 どこから出したのかはわからないその猟銃は、少年が持つには重そうだ。 走っている最中には持っていなかった。 ということは、あらかじめこの付近に隠していたということか。 少年は池を渡ったようで全身が濡れていた。 水を含んで顔に張り付いた薄い金髪が鬱陶しそうだ。 なんてのんきなことを私が考えている一方で、少年は怯えたような瞳に涙を浮かべては大粒の涙を流し、寒いのか、それとも恐怖からか、震える足を懸命に立たせ、同じく震える指を引き金にかけている。 少年が、引き金を引いた。 ――バァンッ―ッ。 静かな森の中に不似合いな、大きな破裂音のような音が辺りにこだました。 銃弾は仮面の左側を少し削り、私の左頬に小さなかすり傷を残し、少しの髪を散らせて背後の林の中へと消えていった。 「ダメだよ。ちゃんと狙わないと僕をころ―」 わたしが言い終える前に、少年の首が飛んだ。
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