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「誰を殺せないって?」 ―ブシュ―ゥウ!―ドサッ―ドボンッ―― 鮮血を派手に噴き上げて、少年の身体が膝を付き、前のめりに倒れた。 少しして池の中に、何か重いものが落ちる音が聞こえる。少年の頭部だろう。 無表情で頭を無くした身体から流れる血を眺めていると、少年の体だったものの背後にある暗い森から、一人の白銀の髪を四方に散らし、左目を黒い眼帯で覆っている背の高い男が現れた。 手にしている大きめの刀身の剣からは血が滴っているが、服には一滴もついていない。 言葉を発したのはその男だった。 突然現れ少年の首を跳ねた男に、私はなんの反応も返答もせずに踵を返した。 元来た道を戻るように、来たときとは違って音をたてることなく無感情に、無表情で林の中を進む。 背後で男が大袈裟に息を吐いたのが聞こえた。 興醒めした気分だった。
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