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「まず潤。お前は潮の体調を考えろよ。病み上がりなんだぞ。そんな奴にプロレス技をかけるな」
「へーい」
「返事ははいだ!」
「はい」
洵の説教が始まった。これは長くなるぞと思い、潮はそそくさと食卓の方へ逃げた。
「あ、潮。ずる……」
「話は終わってないぞ、潤」
洵は潮を追いかける潤の肩を掴む。潤は洵の方を振り返り、愛想笑いを浮かべた。
「……朝食冷めちゃう」
「じゃあお兄ちゃん達の分も私達が食べちゃおうよ」
「え、潤にいの食べ物に対する執着心は本当に恐ろしいの滴もわかってるじゃん」
下三人は上二人の様子を高みの見物しながら朝食にありついた。
「あ、涼の味噌汁おいしい」
「潮くんに言われると嬉しい……」
普段から表情を崩す事の無い涼がうっすら微笑んだのを確認し、潮と滴は顔を見合わせ、笑った。
「そろそろ止める? お兄ちゃん達、このままじゃ遅刻するよ」
「そうだね。二人とも! 早くごはん食べて。遅刻するよ!」
潮の声で二人はこちらを向き、頷きながら食卓の方へ向かう。
下三人は上二人を食卓に招き入れ、兄弟揃っての朝食の時間をとったのだった。
佐伯家の兄弟達 終
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