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「おはよう、朝だよー! 起きて起きて!」
佐伯家の朝は三男の潮が家族を起こす事から始まる。
潮はまず両親、長女、四男、長男、次男の順番で起こす。
この順番にはとある規則が隠されていた。これは寝起きが良い順番である。
つまりは簡単なものから攻略するタイプだろう。
という事は一番厄介なのは次男である潤である。
「潤にい、朝だよ! 学校遅刻してもいいの?」
潮は潤に声をかけると同時に昨日の新聞紙を筒状にしたもので軽く叩く。
こうでもしないと潤は目すら開けようとしないので厄介なのだ。
「皆もう起きてるんだから、早くしてよ」
「んー? 何だよ。今日は休みだろ?」
お決まりのセリフのように潤は言うと、また夢の世界へ旅立とうと布団をかけ直す。潮はそうはさせまいと布団を思いきりはがした。
「はーい、朝ですよー」
潮はニッコリ笑って言う。しかし、目元は完全に笑ってはいなかった。
もし、オーラというものが見えたとしたら潮が現在まとっているものはかなりまがまがしいものだったに違いない。
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