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パンを焼き、自作のベーコンエッグに箸を伸ばそうとしたら、コトリと温かいスープが潮の前に置かれた。
「これ……」
そばにいる潮でさえ聞き取れるか聞き取れないかの声の大きさで言うのは四男の涼である。きっとこのスープも涼が温め直してくれたのだろう。
「ありがとう、涼」
涼は眉を一つも動かさず、無表情のままだが涼の優しさを潮は知っているので、潮は温かいスープをありがたく口に含んだ。
今日も味付けは完璧と自分で評価しながら。
「潮、毎日すまんな」
「いいのいいの。これが当たり前なんだから気にしてないって」
「そうか」
長男の洵は少しずれた眼鏡をあげながら言う。その表情は少しばかり曇っていた。
親が共働きで自分がしっかりと弟や妹の面倒を見るべき立場であるにも関わらず、いつも弟の潮に任せている事に罪悪感を抱いていた。
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