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潮は潤の言葉を嬉しく思ったのか少し目を潤ませた。一方の潤はガツガツとトーストを口に運んでいたところだった。
「そう思うんだったら一発で起きる努力して」
潮が目を潤ませながら言うものだから、洵と涼はそのギャップに思わず笑いそうになり、それを堪えようと必死だった。
「それはごもっともだよ。潤ちゃん」
「はーい」
涼に言われ、潤は返事をしつつスープを飲んだ。
このように佐伯家は潮が主に家族達の面倒を見ているような立場だった。
潮にとってそれは当たり前の日常となっているので苦になった事は無い。
潮は共働きで家になかなかいない両親に変わって兄弟達の母親みたいな存在になっていた。
もはや、潮がいないと佐伯家は機能しないのでは無いと思われるくらい、潮はしっかりしており、家族は無意識のうちに潮を便りにしてしまっていたのだ。
だがある日、珍しい事に潮は寝坊した。この日、佐伯家のほぼ全員が学校や会社に遅刻するという事態が起きたのだった。
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