11人が本棚に入れています
本棚に追加
「潮お兄ちゃん、どうしたの? 寝坊なんて珍しいね」
滴は潮の側に寄り、心配そうな表情を浮かべる。
もしかしたら、体調が悪いのかもしれない。そう思ったからだ。
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」
潮は滴の長い黒髪をすくように頭を撫でた。滴はまだ心配そうな表情を浮かべている。
「何か悩み事があるんだったら相談してくれ。俺は潮くんの味方だから」
「涼まで……ありがとう」
潮はにっこりと笑う。それは兄弟たちを安心させようとしたものだったが、それは逆効果だったようで、上の兄弟からも下の兄弟からも大丈夫か大丈夫か。その言葉ばかりが投げかけられた。
「うん……大丈夫」
潮はさっきからうわ言のように大丈夫を連呼していた。
潤はおかしいと思い、潮の額に自分の手をあてる。
「おい、凄い熱じゃねえか!」
潤の声に兄弟全員が潮の側に駆け寄った。
最初のコメントを投稿しよう!