佐伯家の兄弟達

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「潮お兄ちゃん、どうしたの? 寝坊なんて珍しいね」 滴は潮の側に寄り、心配そうな表情を浮かべる。 もしかしたら、体調が悪いのかもしれない。そう思ったからだ。 「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」 潮は滴の長い黒髪をすくように頭を撫でた。滴はまだ心配そうな表情を浮かべている。 「何か悩み事があるんだったら相談してくれ。俺は潮くんの味方だから」 「涼まで……ありがとう」 潮はにっこりと笑う。それは兄弟たちを安心させようとしたものだったが、それは逆効果だったようで、上の兄弟からも下の兄弟からも大丈夫か大丈夫か。その言葉ばかりが投げかけられた。 「うん……大丈夫」 潮はさっきからうわ言のように大丈夫を連呼していた。 潤はおかしいと思い、潮の額に自分の手をあてる。 「おい、凄い熱じゃねえか!」 潤の声に兄弟全員が潮の側に駆け寄った。
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