佐伯家の兄弟達

8/10
前へ
/36ページ
次へ
「潤、お前は潮をベッドまで運んで! 涼は氷枕の準備、滴は潮の着替えを用意して!」 洵のてきぱきとした指示に従い、全員が動き出した。それは滞りなく流れ、潮は重い瞼を閉じた。 どれくらいの時間がたったのだろうか。 潮はふと目を覚まし、周りをキョロキョロと見回す。 ここは自分の部屋。いつの間にかパジャマに着替えている。熱冷ましも市販のだが準備されていた。 時計を見るともう夜中の一時くらいだ。最後に記憶が途切れたのは夕方の六時くらいだから、結構な時間寝ていた事になる。 枕の感触がいつもと違い、ゼリーのような柔らかさを頭に感じる。きっと誰かが氷枕を用意してくれたんだろう。 「みんな、ありがとう」 潮はきっともう寝ているであろう兄弟たちにお礼を言った。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加