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朝日が潮の部屋に差し込まれ、潮は勢いよく体を起こした。体調も良くなったのか、体が軽い。
「んー……」
潮は大きく伸びをし、勉強机に置かれていた時計を見る。時刻は七時過ぎを指していた。
「ウソ!」
潮は慌ててリビングに向かった。途中、階段から落ちそうになったのは焦りすぎていたせいかもしれない。
「あ、潮」
「洵にい」
既に起きていたのは洵だけではなかった。
鏡の前で滴が長い黒髪を後ろに一つに結ぼうとしている姿を見かけたし、涼がエプロン姿で朝食の準備を終えていたのだ。
「あ、潮お兄ちゃんねぼすけさんだー」
滴はヘアゴムを口にくわえながら言う。
「滴ちゃん、潮くんにいつも起こしてもらってるんだからそんな事言わない」
「はーい」
涼は落ち着いた声で滴に言う。滴もそれもそうだと言わんばかりに素直に返事をした。
「なんだなんだ、起きてたのか。病人はおとなしく寝てろよ」
後ろから肩をポンと叩かれ、潮が後ろを振り向くと、そこには潤の姿があった。
「おはようさん」
「潤にい……?」
潮は思わず窓の方を見る。外は雲ひとつなく、快晴だった。
「潮ってば古典的なんだからー」
「え?」
潮と潤はなかばじゃれあうような形でプロレス技みたいなものを披露した。
とは言っても、体格的に差があるので潮が受け身になる形ではあったが。
「こらー、そこの双子暴れるな」
洵は呆れたように二人の頭をこつんと叩き、止めさせた。
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