弾ける泡

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内勤が持ってきたドンペリがポンと音を立て、シュワシュワとシャンパングラスに注がれる。 私はその瞬間が一番好きだ。弾ける泡をずっと見ていたい。 綺麗なものなんてこの世には何一つ無いと思っていたけれど、私の心が唯一冷静で、安定して居られる瞬間。 たかがシャンパン。たかがアルコール。たかが十数万。たかが十数枚の紙切れ。 私はいつもそれらに興味は無かったけれど、この無数に躍る泡を見れるのならば、たかが、などとは言えないなと思い直した。
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