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(え……?)
それ、どれだけ自分勝手な言い訳なの?
『美津を遊びで抱いたの? 愛してるって言ったじゃない! 棄てないで!』
そう突っ伏して泣けば可愛い女なのだろうか?
(あぁ、そんなすがりつくような醜態はいやだ……)
何回かそんなことがあり、もう別に男なんかいらないや。なんて思ってる。
可愛い女になれないし、演じることも出来ない。
花見が中止になり、今日は早く帰って、録りためておいたDVDを観よう……
いそいそと帰路についた美津であったが、あいにく乗った電車が車両故障で止まり、
(ほんとについてないや)
仕方なく、二つ前の駅で降りた。
タクシーでもいいし、歩いて帰ってもいいや。
地の利を知らない帰路を何気なく歩いていた。
高架下を少し外れた頃、赤提灯が目に飛び込んで来る。
提灯には【かんとだき】と達筆な筆文字で書かれてあった。
(かんとだき? なんだ?)
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