だからMじゃないってば!

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「そうだなぁ…どこでもいいからいつ人に気付かれるか分かんないような時にグイっとキスしてほしいなぁ。押し倒されてキスでもいいっ」 「…」 二人とも黙ってしまった。 「…羅夢ってさ」 由香が口を開いた。 「Mなんだ?」 「なっ…ちがっ…!!」 ニヤリと笑う由香になにも言い返せない。 「確かに羅夢ってMっぽいよねぇ」 「愛までっ…」 私は切なくなった。 『羅夢M説』をなんとかしなくては… そう思った矢先、 「垣原さん」 「はいっ!」 興奮していたので勢いをつけて振り返った。 「うぉっ…あのさちょっといい?」 振り返ってみると私の気合いにおされた崎原祐(サキハラ ユウ)。 彼は私と愛の中間くらいの茶髪をしていて、睫毛長いし目がでかいしでとりあえずかっこいい。 告った女性の数も付き合った女性の数も計り知れない。 そんな私の人生とは関係ないやつがなんのようだろう。 と思いながら崎原君のあとを追う。 そして誰もいない図書室に入っていく。 「どうしたの…かな?」 本棚の奥に行くと崎原君は立ち止まり私を見つめた。 その瞳に私は動けなくなる。 崎原君は私を上から下まで舐めるようにみた後、一歩ずつ近づいてきた。声を出そうにも喋れない。 金魚のように口をパクパクさせると崎原君は笑って、 「どうしたの?垣原さん?」 崎原君は私の顔を覗き込みながら近づいてくる。 近い近い近い… 自分の身の危険を感じで身体が魔法がとけたように喋って動けるようになった瞬間だった。 「んっ…」 両腕は崎原君の片手で捕まれ口を塞がれた。 その…崎原君の口で? キスをされてすぐ離れる。 優しくて、でも力強くてなんかくすぐったい。 「なにしてっ…んっ…はぁっ」 「垣原さん、俺と付き合わない?」 「なにいってっ?!…んんっ…!」 次のキスはさっきよりも強くて、口の中になにかが侵入してきた。 生暖かいなにかが、私の舌をいじる。 「んっ……」 こいつっ…… 静かな誰もいない図書室に私の漏れる声とピチャッ という音が聞こえて、恥ずかしくなる。 由香は舌を噛んだっていったっけ… 無理だよ… 気持ちいいし…抵抗できないっ… だめっ!こんな奴にっ… 私は理性を取り戻した。 「はぁっ…いい加減にっ」 崎原君からの長いキスから解放されたと思った。
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