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俺は大事にそのファイルを閉じると、年度別に並ぶ代々のそれと同じ場所にしまった。
硝子戸越しに見える、きちんと年代別に並んだ活動記録は壮観だった。
改めて生徒会室を見ると、とても新鮮に思える。
置きっぱなしにされた小物の一つ一つに、意味を感じた。
いつの間にか日は暮れ、青白いような光が差し込んでいる。
窓を閉めてから部屋を出た俺は、一旦中を見た。
そして、彼女たちの荷物が無いことを確認すると、生徒会室の鍵をゆっくりと閉めた。
俺は悪戯っぽく笑うと、
すでに蛍光灯が付いたやけに明るい廊下を歩きだす。
もう、刺すような太陽は無かった。
闇に満ち始めた世界から、自分だけが光に照らされていいるような錯覚に陥る。
不気味な夜の廊下で、場違いに明るい自分。
晴れやかな気持ちで足を進める。
さて、明日は生徒会役員を全員集めよう。久しぶりに会議でも開こうか。
場所は生徒会室。議題は『生徒会室の管理体制について』でどうだろう。
階段の手前で、一瞬生徒会室の方を振り返る。
来たときはあれほど可笑しかった『生徒会本部』の文字が、今は堂々とそこにあった。
無意識にそこへ一礼して、
俺は、来た時よりもゆっくりと
階段を下って行った。
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