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普段と何も変わりない、いつもの放課後が俺にはとてもつまらなく見えて、少し急いで4階へ向かう。
時折上から降りてくる生徒は、まるで俺が見えていないかのように通りすぎた。
残念なことに、生徒会長としての俺の知名度は無いに等しかった。
同級生ならまだしも、他学年となると、本当に部の先輩後輩しか、俺の事を知らないのではないかと、俺は思っている。
期待をしていたわけではないが、大きな段ボールを運んでいる人に、
一言くらい労いの言葉を掛けてもいいだろうと、心の中で呟いた。
4階に上がると、太陽の光が一層俺の顔を照らし、真っ赤に染まった廊下が続いていた。
がらんとした4階は、驚くほど楽器の音が遠かった。
ああ、これはどうやら午後のティータイムに突入することになりそうだ。
そう考えただけで気が滅入ってくる。
そこで、段ボールを持ちなおす為に、一度箱を置いた。
そこには電気ヒーターの文字が、茶色い箱に踊っている。もちろん俺たちのものではない。
今日何度目かのため息をついて、今度は割と乱雑に段ボールを抱えて歩き始める。
普段あまり来ることのない最上階はどこか寒々しく、
それを照らしあげる暖かな夕日とのアンバランスさが、現実から切り取られたような錯覚をみせていた。
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