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なるほど、確かにここは居心地がいい。
窓は開けたままに、俺は久々に入った部屋の中を見回す。
今までの生徒会が行ったアンケートや、山積みになった目安箱。
なんとも時代遅れのチア衣装に、応援メガホン。
そして壁一面を覆う、古い硝子戸の棚。
その中には、文化祭の資料や、かつての生徒会の功績が、ファイリングされて保存してあった。
初めて入った時はまるで興味がなかったが、何故か今は中を見てみたい気持ちに駆られる。
適当に一冊の資料を手に取った。
10年前の生徒会の、活動記録だった。発足の集合写真、各行事ごとの挨拶文、下らない内容の議事録。
どれもあまり今と変わらない。
とるに足らない雑務ばかりが書き込まれている。
ただ、そのファイルからは、どこか楽しげで、喜びに満ちているように感じた。
自分たちの活動に自信があるようにも見える。どんな小さな事務でも、生徒の為には変わりはない。
卑屈にならずに取り組む姿が、そこにはあった。
そして最後のページには、役員全員での集合写真が張られ、
その横にこう綴られていた。
「あとは、頼む」
きっと、次の世代へ向けてのメッセージ。
自分たちの活動を、自分たちの生徒会を、この人たちは託していた。
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