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ハッとなって、俺はあるファイルを探し始めた。
もちろん、今年作られたものだ。
棚を開け、何十冊もあるファイルを確認する。
年度ごとに並ぶ古びた資料。
きっとその中でも、思いは託され続けているだろう。
意外にもその資料はすぐに見つかった。
一番近くの引き戸の中あった、真新しい、綺麗で今風のグリーンのカラーファイル。
中には、彼女の記録が入っている。発足の写真から始まって、やはり俺と同じような活動しか行っていない。
ただ、やはり楽しげで明るかった。誇りを持って、生徒会長として働いていた。そうして辿り着いた最後のページ。
「後は、頼みます」
やはり、そう締められていた。
引き継ぎで号泣した前生徒会長が残した言葉。
まるっこくて、いかにも女の子の字で。
でも、そこには彼女の強い意志が込められていて。
今俺はやっと、本当の彼女を"見た"気がした。生徒会長の、彼女を。
それをプレッシャーを掛けられたと迷惑ぶっていた自分が恥ずかしくなる。
その時の涙は、次の世代への不安なのか、それともやり残した自分への怒りなのか。
それともただの名残惜しさだけなのか。結局のところ、その意味は彼女しかわからない。
ただ、こうして彼女は俺に託していた。紛れもなく、俺に。
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