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「ゲギャ、ゲギャ、ゲギャ」
尻尾を巻いて逃げ帰らんとする俺たちの行く手を、待ってましたとばかりに魔物の群れが遮ったのだ。
「なるほどな。あの獣の骨は、コイツらの仕業だったわけか」
かつてベテルギウスの西地区で戦った巨大トカゲたちが、いつの間にやらそこかしこに溢れている。
その数およそ五十。
そう狭いわけでもない洞穴の通路を、我が物顔で満たしていた。
「やや、退路を断たれたようであるの」
「あちゃあ、どうすんの?お兄さん?」
「どうするも、こうするも、後ろのおっかないヤツの相手よりましだろ?」
そうだ。
さっさと道を切り開かなければ、補修を終えたドラゴンに追いつかれたら一たまりもない。
そう考えた俺たちは、退路を塞ぐトカゲの掃討にとりかかった。
「退きなさい!」
マルグレーテの剣閃が走り、首筋を斬り裂かれたトカゲが倒れる。
「邪魔すんじゃねえよ!」
俺がはがねの切っ先を叩きつけると、脳天をかち割られたトカゲが崩れ落ちる。
「ほほ、恨むなら、廻り合わせを恨むがよいぞよ」
そしてマロの和刀が舞い、瞬く間に九つのトカゲの首が落ちた。
やはり、このトカゲたちの動きは緩慢であり、斬り崩すのに困難さはない。
だが、前回もそうだったが問題はこの数だ。
『早くしなければ』と焦る心で、俺もマロもマルグレーテも、必死に得物を振るい、無心でトカゲたち斬り倒すしかなかった。
そんな時だ。
「なあ、なあ」
と、俺は背後から肩を叩かれた気がした。
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