Quest.11 『激闘、竜の巣穴』

25/49
前へ
/768ページ
次へ
目的は単純だが、遂行するのは難しい。 特に、ピンポイントでドラゴンの攻撃を楔に誘導するなど至難の技だ。 絶対防御のこの盾をもってしても、そう簡単にはいかねえだろうな。 だが、それが出来ないことには俺たちに勝ち目どころか明日はない。 なんとしても、やるしかねえだろうさ。 「待たせたな、ガキンチョ。さあ、続きをやろうぜ」 というわけで、俺はマルグレーテを待避させたあと、これ見よがしにマニラを挑発した。 「なんや。まだ、そんな減らず口叩ける余裕あったんか」 言いつつ古竜は肢体を引きずり、のそりのそりと俺へ近づいてくる。 一呼吸、そしてもう一呼吸。 対象と息を合わせた俺は、左へ飛びすさった。 直後に古竜が動き、さっきまで俺が居た位置を強靭な前肢で薙ぐ。 鋭い鉤爪とえげつないパワーが、俺の残像を通過して背後の壁に突き刺さった。 「なんやねん、ちょこまかと!」 即座に方向転換するアメジストドラゴン。 その後ろの壁は無惨に砕け、大きな亀裂が天井近くまで走っている。 それを目視した俺は、すぐさま第二ポイントへと移動。 二つ目の楔の前で、再びマニラを挑発する。 「おーい、ガキンチョ!こっちだ、こっち!」 「誰がガキンチョや!」 安っぽい挑発にホイホイ釣られたドラゴンは、俺へと直進しながら火炎ブレスをぶっぱなす。 それを俺は秘宝の力でいなして、挑発気味の近接攻撃をしかけた。 「まだわかんねえのか?そんなしょぼい火力じゃあ、タルイモも焼けねえぜ?」 「そうみたいやな。ほんなら、これでどないや!」 どうやらマニラのヤツはプライドが高いようで、俺の安い挑発に易々と引っ掛かる。 今度も今度で、ヤツはその巨体を捻りながら尾での薙ぎ払いを仕掛けてきた。 この大振りを、俺は身を屈めて回避。 背後では、二つ目の楔が打ち込まれる轟音が轟いた。
/768ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12423人が本棚に入れています
本棚に追加