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目的は単純だが、遂行するのは難しい。
特に、ピンポイントでドラゴンの攻撃を楔に誘導するなど至難の技だ。
絶対防御のこの盾をもってしても、そう簡単にはいかねえだろうな。
だが、それが出来ないことには俺たちに勝ち目どころか明日はない。
なんとしても、やるしかねえだろうさ。
「待たせたな、ガキンチョ。さあ、続きをやろうぜ」
というわけで、俺はマルグレーテを待避させたあと、これ見よがしにマニラを挑発した。
「なんや。まだ、そんな減らず口叩ける余裕あったんか」
言いつつ古竜は肢体を引きずり、のそりのそりと俺へ近づいてくる。
一呼吸、そしてもう一呼吸。
対象と息を合わせた俺は、左へ飛びすさった。
直後に古竜が動き、さっきまで俺が居た位置を強靭な前肢で薙ぐ。
鋭い鉤爪とえげつないパワーが、俺の残像を通過して背後の壁に突き刺さった。
「なんやねん、ちょこまかと!」
即座に方向転換するアメジストドラゴン。
その後ろの壁は無惨に砕け、大きな亀裂が天井近くまで走っている。
それを目視した俺は、すぐさま第二ポイントへと移動。
二つ目の楔の前で、再びマニラを挑発する。
「おーい、ガキンチョ!こっちだ、こっち!」
「誰がガキンチョや!」
安っぽい挑発にホイホイ釣られたドラゴンは、俺へと直進しながら火炎ブレスをぶっぱなす。
それを俺は秘宝の力でいなして、挑発気味の近接攻撃をしかけた。
「まだわかんねえのか?そんなしょぼい火力じゃあ、タルイモも焼けねえぜ?」
「そうみたいやな。ほんなら、これでどないや!」
どうやらマニラのヤツはプライドが高いようで、俺の安い挑発に易々と引っ掛かる。
今度も今度で、ヤツはその巨体を捻りながら尾での薙ぎ払いを仕掛けてきた。
この大振りを、俺は身を屈めて回避。
背後では、二つ目の楔が打ち込まれる轟音が轟いた。
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