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「こんにちはー。担任の…」
担任の先生が黒板の前で挨拶をしているのを、あたしは窓の外を見ながら聞く。
窓際の席で良かった。
もう桜は散っていて、少し強い風が吹き荒れている。
「ねぇ、澤田さん…だよねっ?あたし橋本美夢。よろしくね。」
後ろの席から肩をたたかれてそう言われた。
「よろしく。」
あたしは彼女に笑顔で返す。
橋本美夢。
少し茶色い髪は、すでに染められたものであろう。でもサラサラな髪で、綺麗に巻かれている。
お化粧も先生にはわからないほどに施されていて、こういう子を今どきの高校生と言うんだろうな。
「梓、って呼んでいい?あたしも美夢でいいからっ。」
「うん。美夢…ね。」
それから先生の話が終わるまで、あたしは美夢と他愛ない話を続けた。
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