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家に戻るなり凛は箪笥を片っ端から引いて開けてゆく。 「何してんだ~?」 「ここは着物を着てる時代でしょ? 今の服装のままだと目立ち過ぎるから、着物が残ってないかと思って」 成る程 と納得して、着物を探している凛の背中を見た。 「あった……」 凛は見付けた着物を広げた。 黒地に朱と白の牡丹、その周りを金の蝶の刺繍がされたとても華やかな物だった。 「すっごい綺麗……」 「凛に似合いそうだな!来てみろよ」 うん とだけ呟き、風魔の前でいつものように着替えを始めた。 風魔が言ったように、凛にとても良く似合っている。 この時、お祖父様に着物の着付けを教えてもらっていて良かったと感謝した。 凛のお祖父さんは洋服ではなく、普段から着流しのような着物を着ている。 その為、凛の家族で集まる時は必ず着物を着るよう言われていたのだ。
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