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ーー暗い森の中に聞こえてきたのは逃げる足音とそれを追いかける足音である。
「ハァッハァッ・・・」
「待てー」
「くそっ!・・・もー追ってが来たのか。 幻術結界をあれだけ張っといたのに!」
「妖狐は幻術にはたけてるから解くのもすごいけどまさかここまで早いなんて、同じ“妖狐”の私も驚きです」
「このままだと、追い付かれてしまうな・・・」
「えぇー、私と迅はなんとかなりますが・・・あなたは人間ですから・・どうしまさょう?」
二人は討論しながらも走り続けている。
当時六歳の俺はそれを聞きながら必死に走り”捕まったら殺される”と六歳で分かっていた俺は、恐怖から逃げるためにただ走っていた。
「やっぱり俺が劣りになった方がいいようだ」
「!! ・・な、何言ってるのあなた、向こうは妖狐でも日本三大妖怪の”九尾“なのよ、いくらあなたが強い陰陽師だとしても勝ち目が無い・・・あなただって分かってるでしょ?」
「しかし・・・」
父さんが反論しようとしたとき
「放てー」と声とともに紅い炎がこちらに真っ直ぐ飛んできた。
「大変! 避けて!!」
母さんは俺を一瞬で抱えるとダイブするかのようにして地面に伏せて紅い炎を避け、父さんも反対側に同じように避けた。
「まさか、いきなり狐火
“紅蓮”がくるなんて・・」「まだ獄炎じゃなくってよかっけど、でも今ので囲まちまったな」
「やっと追い詰めたぞ」
「たっくよー手間とらせやがって」
数体もの九尾が俺らの周りを囲んでいた。
「チッ! 思ってたより数が多いな」
父さんは舌打ちして一言言ってから考えてだした。
そして・・・
「やっぱり俺が劣りになるしかねーな」
「だからそれはダメって・・・!」
母さんの言葉を遮って父さんは言った。
「一番守らなきゃいけないのは迅だ、だか俺ではどんなけ頑張っても追い付かれて三人供お陀仏・・・だから逃げ切れるおまえが迅を連れて行け!」
「でも・・・」
「おと・・さん・・・」
俺はが小さい声で父さんを呼ぶと
「ん? ハッハッ大丈夫だ、男だろ? 怖がっちゃ駄目だって言ったろ」
「うん・・・」
「よしっ!」
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