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そんなことを思っている間に床をゴロゴロと転がり回っていた智樹が立ち上がって俺の方を向いた。
『俺の可憐な人差し指ちゃんだけではなくプリティでキューとなオデコちゃんにまで手をかけるとは……この鬼!』
『なんで汚いおでこに偶然手が当たっただけで鬼呼ばわりされなきゃいけねーんだよ?』
『あれが偶然?完全にわたすぅのおでこちゃんを狙った裏拳でしたよね?』
『ヒガイモウソウヨクナイヨ』
『急に片言になwwるwwなwww』
片言にして誤魔化すなんて上手くいくわけがないと思ってためしてみたが、どうやらツボに入ったらしく成功した。
そんな風に卒業まであと一年という高校生活最後の年の貴重な時間を無駄に浪費していると朝のホームルームを告げるチャイムがなる。
ほぼそれと同時にいつのまにか閉められていた教室の扉が壊れんばかりの音をたてて開かれた。というか勢いが強すぎて壊れた。
そんなことお構い無しとばかりに熱血筋肉馬鹿………もとい去年から引き続き俺の担任教師である田中棚男が入ってきた。
そして黒板に大きく綺麗な字で自分の名前を書くと教卓に両手を着いて声高らかに
『今日から君達の担任となる田中棚男だ!よろしく!』
と学生時代応援団でした!といわれれば十人中十人が納得するほど大きな声で宣言した。
何を隠そうというかその体格、言動から溢れだしているが彼は体育会系の熱血教師である。
その熱血さ故に、一部の教師からは疎まれてはいるが生徒からの信頼は彼のはち切れんばかりに鍛え上げられた胸筋のごとく厚い。
というのも生徒一人一人とに真摯に向き合い、相手のことを理解し認めた上でそこからどうすればいいのかを一緒になって悩み、見つけてくれるからである。
それはどんな生徒に対してでもあり、教師に嫌われがちな不良でも変わることはない。
そして俺もそんな熱血教師に信頼を寄せる一人である。そんな彼が担任になることは喜ぶべきことと言える。
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