第一章:謎の玉

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担任のことを自分の中で再認識しているといつの間にか俺の列から自己紹介が始まっていた。 そして一人、二人と自己紹介を進めていき遂に俺の番がまわってきた。 ………正直に話そう。 俺は、自己紹介が苦手だ。なんでかって?それはな…… 『えっと、江原司です。趣味、特技共にありません。将来の夢もありません。こんな自分ですが一年間よろしく』 な?つまんないだろ? だから自己紹介嫌いなんだよ。 でもないもんはしょうがない、無理に作るもんでもないしな。 別に………寂しい人間じゃないからな誤解すんなよ。そして俺が席に座ったと同時に後ろの智樹(バカ)が自己紹介を始める。 『野村智樹です!趣味は音楽を聞くことで特技はフットサルです。将来の夢は保育士を目指してます。最後の高校生活楽しみたいのでよろしくお願いします!』 あいつ、嘘ばっかいいやがってなんやかんやで自己紹介が終わり、担任の先生からのありがたいお話を全く耳にいれることなく外を眺めていつもより流れの早い雲をぼーーっと眺めていたら後ろから肩を叩かれた。 『司、いつまでぼーっとしてんだ?もう休み時間だぞ?』 先程のことから学んだのが今度は普通に俺の肩を叩いて声をかけてきた。 『うわっ、来やがったよ自己を嘘で塗りたくって紹介した奴が』 『静まれーい!お主達程度の弱き者共に本来の己を晒すほど餓鬼ではないわ!!』 無駄に指を突き出さなくなったのはいいんだが急に中二病丸出しだな。だがここで怯む俺ではない。 『ならこれではどうだ?そのままで我に勝てるかな?さぁ、本来の自分をさらけ出してみよ。』 とオーラ全開といったように掌を腰の高さで上向きにして開いてこちらも中二病全開で合わせてみた。もちろん二人とも動作はでかいが声は小さい。理由は言わずともわかるよな。 『なにそれwテラ中二病www』 奴が俺を指差して嘲笑いながらそう言ってきた。乗ってやったのにふざけんな。 非常に殺意が沸いた。尋常じゃないくらい顔がうざかった。 『いいから言え……じゃないとみんなにばらすぞ』 智樹は自分の危機を悟ったのか本当の自己紹介を始めた。 『野村智樹です。趣味はアニメ鑑賞、特技はギャルゲ、エロゲ攻略。将来の夢は保育士です。』 『将来の夢は本当のようだな。では君の好きな女性のタイプは?』 『………幼ない感じの女性です。』
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