白鳥の味噌汁

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言葉を濁らせていると、つばめが笑顔ですずめにしゃべりかける。 「すずは知らなくていいんだよ」 つばめの言葉にすずめは不満そうに頬を膨らませたが、千鶴がちょうどお茶菓子を持ってきたのでその話は打ち切りとなった。 「今日は魁、誰と会合なの?」 お茶を淹れながら、千鶴が尋ねる。 ちなみにお茶を淹れるのは料理の類には入らないので、千鶴が淹れても安全だ。 「今は近衛カンパニーとの会合だな。 20時から藤重財閥、22時から東条グループだ」 「今日は表の方なのね」 鷲太朗と千鶴の会話を聞いて、琥珀は疑問が浮かぶ。 「表の方って何だ?」 「あぁ、ハクさんには、まだ教えてなかったね」 梟が手をポンとたたく。 こういう時の説明役は鷲太朗だ。 「鴉組は不法なことには手を出さない。 だから密輸や密売は決してしない」 「でも、そうすると収入源がないわけよ」 千鶴が間に説明を入れてくれる。 「この大所帯を養っていくには、収入源が必要なんだ。 だから、鴉組は表向きは会社を運営している」 「そうなのか? 初耳だ」 「組織がばれないように、表向きに普通の仕事をすることは、こっちの世界では結構当たり前のことだ。 土地借用での収入や、会社を運営しての収入を組の運営資金に回すんだ。 ただ、ここは収入が主にその表の仕事しかないから、他の組よりかは手広くやってるだろうな」 琥珀が知らないことはまだまだ多いようだ。 「それも魁がやっているのか?」 「一応、社長は魁のお母さんになってるんだよね。 でも、実質的に会社を回してるのは魁とか鷲さんだよ」 梟の言葉に少し恐ろしくなる。 十代が会社を動かしているのだ。 凄い、としか言葉が出てこない。 組員たちはそんなこと微塵も思っていないのだろう。 千鶴は平然と湯呑を渡してくる。 湯呑に入ったお茶の波紋を眺めながら、琥珀は尋ねる。 「会社はどんなことをやっているんだ?」 「ホテルとか、式会場っスね!」 「CROW COMPANYって知ってるかしら?」 隼人に続き、千鶴の言葉に、琥珀は思わず湯呑を落としそうになる。 「く、クロウ・カンパニーって、あのホテル・レイヴンとかの…?」 「あら、よく知ってるわねー」 千鶴は少し驚いたように、琥珀にそう言うが、驚いたのは琥珀の方だ。
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