part1

9/20
前へ
/33ページ
次へ
 次の朝ケンイチの騒ぐ声で起きた。 「やっべー!!!俺昨日の子と連絡先交換すんの忘れたー!!」 泣きそうな顔で俺のそばに寄ってきた。 俺はうっとうしそうに携帯を開いてケンイチに見せた。 「トオルちゃん、神だね、神!!大好きー」 そう言って抱きつこうとしてきたので俺は必死に押しのけていた。 隣ではれみがくすくす笑っていた。 「それ、なつみちゃんの番号だから。もう一人のえりちゃんは聞いてないよー。」 そう言うとおっけーおっけーとさっそく自分の携帯に転送し連絡していた。 行動力の速さだけは一級品だ。 電話を終えると、今日学校休むねーっと言いながら家を出て行った。 れみがまだ眠たそうだったので、静かにベッドを降り、学校へ行く支度をした。 れみは少し病弱であり、学校へ行くことはできなかった。 ベッドの横にいつも飲む薬を置いて部屋を出ようとした。 か細い腕で布団をめくり、こちらを見て、入ってらっしゃいと手を振っていた。 ゆっくりしろよと言い、俺は大学へと向かった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加