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あたしの家は富豪に入る。
そんな家に住んでいるあたしは令嬢。
でも自覚はない。
家も屋敷なので周りからは“羨ましい”と言われるがあたしは嫌だ。
もっと自由に、縛られない暮らしをしたい……その思いが日を重ねるごとに強くなっていく。
はぁ、憂鬱だ。
「セレナー、行くよー」
「はーいっ!」
屋敷から出発して徒歩で約30分。
遠いがお喋りにいつも夢中になっていたので特に気にならなかった。
だけど、今日は違っていた。
この日を境に全ての歯車は動きだした。
いつも通り話ながら歩いていくと隣を黒い物体が通り過ぎた。
「お姉ちゃん、アレ……」
「何かしら……?分からないけども関わっては駄目よ」
お姉ちゃんの言葉を聞きながらもあたしの目はそれを追い掛けていた。
一瞬だけ見えた綺麗な銀髪。
よく見ると黒いローブを深く着込んでいてフードをかぶっている。
まるでてるてる坊主。
顔は前髪で見えなかった。
なぜだろう……?
頭が追い掛けろ、足を動かせと急かしてくる錯覚に陥る。
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