終焉からの始まり

2/14
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
おかしいな。いつものように家を出て、いつものように学校に行き、いつものように帰ってくる………それが出来ないんだ。 何でかって? それは…… 「お前に恨みはない。だが見られたからにはしょうがない。素直な性格とお人好しが仇になったな」 僕の目の前に立っているこの人に、刀で貫かれたからかな――全く、なんの冗談なんだろ。 そう考えている間にも、死は刻々と近づく。地に伏している僕の周りには、かなりの血だまりが出来ており、伝えてきている。 “お前はもうすぐ死ぬ”っと だんだんと意識がはっきりしなくなる。 「あぁ、死ぬ前……に一ついいで……すか?」 「……………何だ?」 男は僕の願いを聞いてくれるらしい。 「だが、聞くだけだがな」 と追加して。 けど有り難いな。 力が入らないが、何とか顔を地から上げ、震える唇を開き言葉を紡ぐ。 「両親に……今まで育てくれて…………ありがとうって………先に旅立って……親不幸者……で……御免なさいって……伝えてく…だ……さい」 「………………聞くだけは聞いた。私は行くぞ」 男は身を翻し去ってしまう。だが、不思議と確信を持てる。 必ず伝えてくれるだろうと。 さぁ、これでやるべき事はやったな。あっ、なんか眠くなってきたな、不思議と。 僕はだんだんと目を閉じていく。 そして、少年は静かに息を引き取った…………
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!