新しい生活のスタート

2/8
前へ
/100ページ
次へ
    ―――四月一日  雲一つ見当たらない快晴。  まさに入学式日和と言ってもいいような気分のよい爽やかな朝だ。  春の暖かな風に吹かれて、柔らかな日差しに目を細めながら、俺はバス停までの道のりを小走りで駆け抜ける。  街道に一定の間隔で植えられた、桜が満開だ。  そよ風に吹かれて、空へと薄桃色の花弁が舞う。  満開の桜を眺めながらバス停へとたどり着いた俺は、ちょうどタイミングよく到着したばかりのバスへと乗り込む。  バスの一番後ろの後部座席に俺は座り、走るバスの窓ガラス越しに桜の花弁が舞う町並みを眺めながら到着するまでの時間を潰す。  バスに乗っている乗客の数人は俺と同じデザインの制服を着ていて、俺が通う所の高校の生徒であることが伺える。  真新しい制服を着込んでるやつらは俺と同じ新入生のやつらだろうな……  そんなことを考えながら頬杖をついて流れて行く景色を見ていると、前の席に座っている男子に声を掛けられた。 「そこの金髪頭のひと!」  このバスに乗車してるヤツで金髪頭は俺しかいないので、仕方なく声を掛けてきたそいつの方に顔を向ける。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加