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さっきから、黒髪男がずっと俺に睨みを利かせているのだ。
その瞳には嫉妬と憎悪の入り混じった狂気の炎がちらついている。
俺はそいつの目を見ないように顔を背けているのだが、突き刺さるような視線に、冷汗が背筋を伝うのがやけにハッキリと解り身震いした。
隣りに座っている、黒髪男のそんな恐ろしいまでの暗黒の波動と態度を龍之介は全く気にしていない。
いや気付いていないのか?
コイツは、きっと大物になる。
「……でさ、翼は何部に入るつもりなんだ?」
「……あ?」
「なんだよ! 人の話聞いてないのか?!」
「いや……ちょっと、さっきから、 気になってる事が……」
俺は黒髪男の目を見ないように顔を背けたまま、思い切って龍之介に隣りに座っている男のことを聞いてみようと切り出してみる。
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