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なんとか、落ち着いて話が出来そうな雰囲気になって、俺はほっと胸をなでおろして元いた後部座席に座りなおした。
「そういや、真澄。お前まだ翼に自己紹介してなかったよな?」
「……ああ」
そう言って俺のいる方に顔を向けた真澄は、さっきとは打って変わって、普通に微笑んで握手を求め、俺に手を差し出した。
「僕は天上院 真澄(テンジョウイン マスミ)よろしく」
「あ、ああ。よろしく……!」
握手を俺と済ませた真澄はポケットから白いハンカチを取り出して、俺と触れ合った方の手の平を入念に拭いている。
こ、こいつ、全然俺とよろしくするつもりねえ!
「翼。真澄は俺以外の他人には始終こんな感じなんだ。だから、あんま、気にするな!」
龍之介にそうフォローされてもまるきりばい菌扱いされれば、やられた側は多少なりと傷つく。
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