再会~兄と弟~

14/64
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/100ページ
    兄貴が窓をぶち破ったせいで、すっかり風通しがよくなった窓際の席で、ガタガタと震え、怯えまくっている新米教師の肩を、俺はぽんと優しく叩いて声をかけてやる。 「兄貴は生徒のことを言っただけです。  先生は大丈夫だから、とりあえず、時間もつかえてるし、教壇にちゃんと立ってHRはじめてください」  新米教師は、涙目で俺を見て頷いた。 「す、すみません、あまりのことに、混乱してしまって……HRはじめますっ!」  ガタッと慌てて立ち上がり、先生は目じりに滲んでいる涙をポケットから取り出したハンカチで拭った。  しかし、ハンカチを取り出した時に手にしていたプリントから手を離し、机に置いた瞬間、風でプリントが、ばらばらに散らばって教室内に花吹雪のように舞った。 「わあああっ!!! プリントがっ!!!」  あちらこちらに舞い上がったプリントをかき集めようとあわあわと先生が、焦った挙句、今度はイスに足を引っ掛けて、派手に顔面からすっ転んで、コント芸人のように綺麗にうつ伏せに倒れた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!