再会~兄と弟~

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   俺は入学式が終わっても未だに爆睡し続けている兄貴の肩を叩いて起こしてやる。 「おい、兄貴! 入学式終わったぞ! 起きろーー!」  そう呼びかけながらがくがくと肩を掴んで揺する。  すると兄貴は瞼を開いて起きた、と思ったら俺の首に腕をかけて固定してきた。  そしてそのまま、動けずにいる俺に口付けてきた。  もろに唇にキスをされて俺は固まった。  イスや舞台の装飾を片付けるのに残っていた上級生達が目を丸くして、びっくりした表情で俺達を見ていた。  俺は自分に集中する視線の痛さに我に返り兄貴をグーで殴り飛ばした。 「いきなりなにしやがんだっ! こんの、糞兄貴があぁぁーーッ!!」  寝ぼけるのも大概にしやがれっ!  ガターンッ!と派手な音を立てて兄貴がイスごとひっくり返った。  後頭部をしたたか打ち付けた兄貴は、ハッとした顔をして、今度こそ本当に目を覚ましたのか、打ち付けた頭をさすりながら、起き上がった。
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