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「翼、なにしたかはわからんが、お兄ちゃんが悪かった!」
兄貴にそう謝られて、掴まれていた腕が離される。
俺は、思わず振り向いて兄貴を見た。
兄貴は柄にもなく、普段見たことのないような真剣な表情をしていた。
「俺は、翼を悲しませたいわけじゃないんだ、それだけは解ってくれ」
そう言って、兄貴は何を思ったのか、徐に胸元のポケットから、シャープペンシルを取り出して、そしてそのシャープペンシルを、右手に持って、そのまま左手の平に振り下ろして、突き刺した。
シャープペンシルが、兄貴の左手の平の真ん中を貫通して、グッサリとつきぬけていた。
そのシャープペンシルが突き刺さった、血まみれの左手を兄貴は俺の目の前に翳した。
「ぎゃあああぁぁっあぁぁぁーーーッ!!!」
それを至近距離で見せられた俺は悲鳴を上げた。
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